2026Raji02

Raji Krow整備計画(案)

2. 現状分析

2-1. 水路ネットワークの現状

KMZデータ(Sankhu-01.kmz)の解析結果に基づく用水路区間別の現況を以下に整理する。

水路区分延長本数現況課題整備優先度
RK幹線(RK1~RK6)7.4 km6本上流部のライニングひび割れ、シルト漏水、取水口管理不全最高優先(農業用水確保)
二次幹線(RK101等)8.8 km約20本埋設・石蓋化、分水管理機能喪失、ゴミ投棄高優先(集落内景観復活)
末端支線(RK1040xx等)7.6 km130本以上農家による無秩序な切り替え、管理者不在、末端水不足中優先(水利権整序)
MWL・LWL系0.9 km5本機能・区分の現地確認が必要要調査
排水路(Draine系)0.3 km2本記録上の排水路は2本のみ。実態は用水路が排水を兼用要整備(用排分離)
河川(Riv系)14.1 km4本サリナディ川・モノハラ川等。小河川交差部で用水路崩壊繰り返し交差部要対策

2-2. 水管理の現状と問題構造

(1) 上流優先の慣行と情報の非対称性

ネパールの水利権制度は土地に付与される上流優先の原則に基づいており、Sankhuでも上流農家が下流農家に無断で水門を閉鎖する事態が慢性的に発生している。水路末端部では灌漑水量が確保できず、下流農家は直接サリナディ川から個別取水を余儀なくされている事例もある。

(2) 用排水未分離と水質悪化

記録上の排水路はDraine系2本(総延長0.3km)のみであり、実質的に用水路が農地排水・生活排水・雨水排水を兼用する状態にある。このため水質汚濁が進行し、農業用水として再利用する際の収量減少が報告されている。また大雨時の洪水排水機能も用水路が担っているが、排水路としての断面設計はなされていない。

(3) 管理組織の実態

1995年にPlan Internationalの支援でWater Users’ Committee(9名)が設立されたが、改修工事完了後の維持管理組織としての機能は限定的である。農家の維持管理参加は年1~3回の清掃作業(土砂・石の除去)にとどまり、水利組合員と一般農家の間に認識の大きな差がある。

2-3. 農業・土地利用の現状

Sankhuの農業は水稲(38%)・夏馬鈴薯(18%)・冬馬鈴薯(27%)・小麦(10%)を主体とした集約的土地利用(平均耕地利用集約度2.4)であり、農業用水需要は増加している。水稲-小麦から水稲-馬鈴薯-馬鈴薯へのローテーション変化により、乾期(12~3月)の灌漑需要が特に逼迫している。水田用水が確保できない土地ではトマトハウスへの転換が進んでいる。

2-4. 地域用水施設(ガーイチ・プク)の現状

Sankhu市街地には農業用水路以外に、扇状地伏流水を利用する共同水場(ガーイチ)と小規模溜池(プク)が重要な地域用水施設として存在してきた。これらはネワール文化の水文化と不可分な関係にある。

共同水場(ガーイチ)

市内9箇所のガーイチのうち健全なものは3箇所のみ。3箇所は涸れ、残り3箇所は流量が著しく減少している(2018年調査)。古いものは800年前に遡る歴史を持つ。湧水源は扇状地の伏流水であり、水場によっては電気伝導度が1,670 μS/cmに達するものもある。生活用水供給のほか、女性が集う「井戸端会議」の場としてのコミュニティ機能も重要。上水道整備が進みつつあるが断水が多く、ガーイチの必要性は依然として高い。

溜池(プク)

かつて市内に4つ存在した溜池(プク)は現在3つとなり、いずれも劣化が著しい。南門外の2つのプクのうち1つは完全に水がなくゴミ捨て場となっている。プクは農地への配水調整・防火用水・神事・慶事と深く結びつく文化的施設だが、市街地開発と管理体制の消滅により機能が失われた。Shankharapur市長は復旧に向け300万ルピーを予算化した。

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