第3章 推進体制の設計
3.1 推進体制の基本設計
新しい組織は、既存の利害関係に縛られない、開かれた対話の場として設計する。以下の三層構造を提案する。
| 【第一層】シャンカラプール地域発展フォーラム(年2回の全体会議) 構成:市長・副市長、各ワード代表、農家・農業者代表、商工業者、観光関係者、女性グループ、若者グループ、学識経験者、JICA・外部支援者 (20~30名) 役割:ビジョン・方針の承認、プロセス全体の方向確認、成果の共有と評価 |
| ↕ 相互に情報共有・フィードバック ↕ |
| 【第二層】地域検討委員会(月1回の定例会) 構成:各分野のワーキンググループ代表、市の担当職員、外部アドバイザー(日本側含む)(10~15名) 役割:テーマ別の課題分析・具体策立案・実施管理・モニタリング。フォーラムへの報告と提案。 |
| ↕ 課題の掘り起こし・実施のフィードバック ↕ |
| 【第三層】テーマ別ワーキンググループ(隔週~月1回) WG①農業・食料 WG②観光・文化 WG③インフラ・環境 WG④若者・起業 WG⑤情報・広報 役割:テーマ特化の現場調査・データ収集・小規模実験・学習。住民の生の声を集約して委員会に提供。 |
3.2 各組織の役割と参加者
| 市行政(市長・職員) | 政策的意思決定・許認可・予算配分。委員会への事務局機能の提供。国・省との調整役。 |
| 農家・農業グループ | 農業実態の情報提供。ポケット市場・直売所のコア参加者。農業カレンダー・作付け計画の共有。 |
| 商工業者・加工業者 | 農産物の加工・流通・販売チャネルの担い手。バリューチェーン構築の実践者。 |
| 女性グループ | 加工品・家庭菜園・食文化の担い手。ポケット市場の中心的出店者。社会的ネットワークの核。 |
| 若者・学生 | 情報収集・SNS・ドキュメント作成。農業ビジネス起業の候補者。外部との接点役。 |
| 観光・文化関係者 | 寺院・祭礼の担い手。ゲストハウス・飲食店。ハイキングガイド。文化資源の語り部。 |
| 外部専門家(日本側) | 農村振興・農産物流通・観光地域づくりのファシリテーター兼アドバイザー。JICA草の根事業の実施主体。 |
| JICA・国際機関 | 資金・技術・ネットワーク支援。第三者的な評価・モニタリング支援。 |
3.3 組織設立にあたっての留意点
| ①利害関係を生まないスタートを切る 既存の野菜販売店、商工会、特定の農家グループなどの利害が持ち込まれないよう、「新しい組織」として中立的な形でスタートすることが重要。当初は「共通の関心」(農産物の販路、若者の雇用、観光客の誘致など)を接着剤とする。 ②インセンティブの多様化 参加への動機は「利益」だけでなく、「名誉・表彰」「学びの場」「若者の起業支援」「貧困対策への貢献」など多様に設計する。とりわけ女性・若者・高齢農家が「自分の参加に意味がある」と感じられる仕掛けが不可欠。 ③外部者の立ち位置の明確化 日本側支援者は「答えを教える専門家」ではなく「問いを引き出すファシリテーター」として機能する。地域が自ら課題を見つけ、解決策を考える力を養うことが、JICA草の根事業の最大の目的である。 |
